ご自宅

古田様・加藤様 ご姉妹 (ご自宅にて)

 

古田様と環境建築設計とのご縁は、今から30数年前、横浜市鶴見区にあるご自宅(一戸建て)の建替えまでさかのぼるんですね。どういう経緯だったのですか? 
(姉) 実は、結婚してから広島で家を建てたんです。そのときは何もわからないから、ある住宅メーカーに依頼しました。設計も施工も全部やってくれるから楽だし安くていい、と頼んだんですけど、それはそれは手抜き工事で、住めないくらいの家になったんです。それでそこは売ってからこちらに来ました。
あちらは普通の対応をされていたのかもしれませんけど、「ああやって満足できない結果になるなら、設計と施工は別の業者に頼んだ方がいい、少しコストがかかっても絶対に元は取れるし、全然高いことはない」という考え方になりました。

環境建築設計に依頼するきっかけは? 
うちの近所に環境建築設計の宮坂さんが素敵な家を建てたのが、当時の実家から見えたんです。すっきりしていて「きれいだな」という印象。そこを見せてもらいに行って、「やっぱりこの人に頼もう!」と思って紹介してもらいました。

当時は、どんな家がほしいと思っていましたか?
住宅地で家が密集していたので、風通しも日当たりも悪かった。日当たりのいい家がほしかった。それで、過去の失敗があったから、設計と大工さんは別がいいという、それが一番ですね。

設計を依頼されてからのやりとりは覚えていますか?
宮坂さんも若かったけど、私も若かったから言いたいことを言ったんです。今思うと本当に悪かったな、と(笑)。すごくうるさいクライアントだったと思います。 まず外観デザイン。いくつもいくつもデザイン案を作ってきてもらっても、「これは嫌だ、ここも嫌だ」の連続で…。でも、宮坂さんは嫌な顔ひとつせず、すぐ次のデザインを考えてきてくださった。私が「いい」って言うまで何回も(笑)。

オーナー様が言いたいことをストレートにおっしゃることで創造力を刺激されることもあるでしょうし、それがコミュニケーションの一歩ということもあるかと思いますね。
実際のお住まいになって32年ということですが、一番気に入っている部分は?  

建てたときはわからなかったんですけど、横の線を大事にしたのかな、とか、今になって思いますね。キッチンをリフォームするときも、いらないものを全部どけて何日間か眺めていたんです。家具も含めてすべてがオーダーメイドだから、吊戸棚にしてもきちっと線が合っているし、「何で水道の蛇口が右についているのかな」とずっと思いながら暮らしてきたんですけど、「ああ、邪魔だったんだわ」、と気づきました(笑)。すべてにわたって、そういう計算があったんだろうな、と今になって思いますね。

家具もすべてオーダーメイドで職人さんが手掛けたということですが、天井近くにある障子も、三角形をしていて珍しいですよね。
こないだもリフォームした大工さんが眺めて、「すごい、すごい」と言っていました。それにしては安かったから「きっと利益があまりなかったのね」と主人と話していたんです(笑)

おっしゃるように、「施工者と設計・監理者が別々で行う」という点が設計事務所に依頼するメリットのひとつです。実際にいかがでしたか?
とても満足しています。環境建築設計の担当スタッフの方が、毎日ついてくれて。「こんなにかかりっきりでやってたら人件費も出ないでしょうに…」、と心配になるくらい、きめ細かく対応してくださいました。

専門用語が理解できないとか、うまくコミュニケーションが取れないまま計画が進んでしまうんじゃないかという不安はなかったですか?
私たちは素人だから、なかにはわからないこともあったけど、きっと間違いはないだろう、という確信がありましたね。私と主人は広島で一度、住宅メーカーでは不十分と思っていますから慎重になっていましたが、この人たちなら間違いはない、と。

ラグゼ

さて、ご自宅が完成してから二十数年後、横浜市鶴見区において「ラグゼ」の計画が始まりました。お父様から相続した土地だと聞いていますが、経緯を教えていただけますか?(姉)
父が亡くなり、相続の問題が持ち上がったんですが、いったん母の名義で相続してから、鶴見区の土地を私が、東京・中野区の土地(イリスコートの建設地。後述のとおり)を妹が、いずれは相続するということになったんです。 ところが、鶴見の土地には古い木賃アパートがあって、相当なお金をかけて修理しないと、人には貸せないような状態になっていました。 さらに、その古いアパートのうしろにこれまた古い一軒家があったんです。もらってもどうしようもないような古い家だったうえに、取り壊して更地にしたとしても、無接道により建築許可が下りない土地だったんです。 しかも、傾斜地ですから、これは困ったな、と。それで当初は、また同じような木賃アパートを建てようと思っていたんです。

竣工写真
ラグゼ(竣工写真:篠澤写真事務所)

そこでいよいよ環境建築設計の出番になるわけですね?
(姉)
宮坂さんが見に来て、私の考えを伝えましたが、なにかひらめいたみたいで。宮坂さんの提案は傾斜地から一戸建てのある土地まで一続きのマンションを建築したらどうか、ということでした。

その提案をお聞きになった時はどう思われたんですか?
(姉)
妹と二人でびっくりしちゃいましたね。傾斜地を削ってマンションを建てるうえに、使いようのない土地まで含めて、ひとつのマンションにしよう、ということですから。せっかくの父からの資産をもっとプラスに活かせるのではないか、という思いで提案してくださったんだと思います。 でも、正直なところ、建てたところでその土地は奥まっているし、とてもじゃないけどいい部屋にはならないでしょうと思っていたんです。 ところが、ラグゼができて貸していると、そっちの方が人気があって、空室が出てもすぐ埋まるんです(笑)。ドライエリアになっていて、とても明るくていい部屋なんですよ。

でも木賃アパートひとつ建てようと思っていたコストイメージと傾斜地のマンション、全然違うような気がしますが。
(姉)
そうですね。結局、あのときは母の名義で母の資産で建てられたのでできたのかな、というのはありますね。でも、どうせ相続の時は税金取られてしまうものだし、もし私があの古いアパートと一戸建てのある土地をそのままもらったとしても、年金生活ではあそこの固定資産税は払えないですよ。傾斜地とアパートが一つ残って、利用できない土地だけが残って。固定資産税だけ払って、ということになったでしょう。畑でもやろうかなっていうくらいの感じだったと思います。 それを考えると、今はもう一代、私の代だけは持ちこたえられるかなという感じです。

土地活用の問題、相続の問題を同時にクリアできたということですね
(姉)
環境建築設計は宮坂さんはじめ、相続関係の知識、経験も長けていますから、こちらの事情に合わせてさまざまな提案をしてくれたので、本当に助かりました。

さて、ラグゼについては、デザインなど、なにか注文を出されたんですか?
(姉)
住戸のバルコニーの「がんこう」している手摺部分を、当初の設計では全部コンクリートでやるとおっしゃるんで、そうしたら風も入らないだろうし、ほかの素材にしてはどうですか?と言いました。私はパンチングメタルでいいのではないか?といったんですが、それは安っぽくなるから、と。結果的に縦のラインが美しいアルミ素材とデザインになって、まさにラグゼの顔になっています。 信頼関係があるので、意見交換もとてもスムーズでした。


縦のラインが美しく映えるバルコニー

 

施工中のコミュニケーションはいかがでしたか?
(姉)
施工業者さんもしっかりした会社で、現場所長以下、社員の方も素晴らしい方で、とてもスムーズでした。それを宮坂さんはじめ建築士の方がしっかり監理してくださってましたから、なんの不安もなかったですね。

ご近隣の皆様はいかがですか?
(姉)
以前は、古いアパートがあって、その裏の傾斜地も蚊がすごくてきたなかったし、それがおしゃれな一角に変わって、いい散歩道になりました。人通りも増えたような気がします。 近所の方も、建てる前はいくつか要望をいただいたりしましたけど、できてみると「ちょっと中を見せて」って来てくれたりして、「素敵ね」と言ってくれます。

 

駅から遠いのに空室が埋まる


(竣工写真:篠澤写真事務所)

竣工後の管理は、環境建築設計のグループ企業である「六耀」が行っているんですね。
(姉)
そうです。この辺りの集合住宅は、空室がかなりあるんですよ。ラグゼも駅から徒歩10分以上離れていますが、それでもあれだけ住んでいるということは、やはり建物が魅力的なんでしょうね。社会人が多いですが、鶴見大学の歯学部が近いので学生さんも2、3人いますね。 近所の方も、建てる前はいくつか要望をいただいたりしましたけど、できてみると「ちょっと中を見せて」って来てくれたりして、「素敵ね」と言ってくれます。

 

イリスコート(共同住宅:14戸)


イリスコート外観 (竣工写真:篠澤写真事務所)

いったんここで、妹さんが相続されたイリスコートの話に移ります。JR中野駅から徒歩3分の土地ということですが、経緯を教えていただけますか?
加藤様
(妹)
イリスコートが建っている土地にも、古い木賃アパートがあったんです。それで、ラグゼのときの経験もあるので、姉がいろいろアドバイスをしてくれました。

古田様
(姉)
私としては、中野の古いアパートをこのまま妹がもらったとしても、やはり固定資産税を払えないような生活になってしまうから、母がいる間に母の資産をいくらか使って建てれば?というアドバイスはしました。でも、強制したわけではないし、宮坂さんにお願いしなさいとも言ってないんです。

もともとあった古いアパートはどんな状態だったんですか?
(姉)
築50年くらいのアパート、管理人の住まいがあって、共同のトイレで…
(妹)
廊下の床が本当に黒光りして…
(姉)
部屋にお風呂もないし。畳のところにすぐキッチンがあって…。


建設中の写真

よく昭和のドラマとか映画に出てくるような?
(妹)
そうです(笑)。セットに使えそうな。

それならお姉さんとしては、ラグゼの成功体験をアドバイスしたくなりますよね。
(姉)
でも話さなかったんです。妹もラグゼを見ているわけですから。あまり宣伝はせずに。
(姉)
ええ、全然。だから私は、選択肢として、一般のハウスメーカーで集合住宅を建てる方向もあるのかな、と。楽な方法もあるなという感じで。

ハウスメーカーの方が「楽」というのは、パッケージになっていて選びやすい、という感じですか?
(姉)
そうですね。規格品で、コストも見えるという楽さ。でも、ラグゼを見て、お任せしたほうが、いいと思いましたね。あの傾斜地を、あんなどうにもならない土地を、あんな見事に再生させたわけですから、きっと、ほかの建て方だったらあんなことはできなかったでしょうね、あそこは。

イリスコートが建つ前には古いアパートがあったということでしたが、なにか問題があったんですか?
(妹)
入居者が結構いらして、その立ち退きが大変だったんです。あのときは、六耀さんの社員の方がすべてしてくださって。出ていただくのに何カ月分もお支払しないといけないのかと思ったら、上手に交渉してくださって。
(姉)
一律じゃなく、一人一人と向き合って、その相手に合わせた方策をたててくれて。こちらの都合だけでなく、出て行かれる方々が困らないようにということもきちんと考えて。
(妹)
恨まれもせず。逆に、「新しいマンションが建ったら、今度は入りたいです」っておっしゃった方もいるくらい、本当にあたたかい対応で。

ちょっとは揉めるのが普通ですよね。
(妹)
それが、もめないっていうのがすごいですよね。しかも、ほとんど何ヵ月も払うなんていう人はなく。

他に問題はありましたか?
(姉)
その古いアパートの地下に水路が通っていたんです。実際には水路としては使っていないんですけど、区役所は、登記上は水路があるから建築の許可はできない、と。そこで、宮坂さんはじめ環境建築設計と六耀の皆さんが掛け合ってくれました。
(妹)
道路後退しなくてはならない土地があったので、その土地と水路部分を等価交換するということの提案でした。もし私たちだけでやっていたら、それはそれでまた別にどこかに頼まなければできないという大変なお仕事だったと思います。
(姉)
そういう法律的なアイデアの面でも、根気のいる交渉という行動力も素晴らしいと思います。

「建築士」とか「設計事務所」のイメージが、だいぶ違ってきましたか?
(妹)
そうですね。いろんなことを研究しているというか、おうちを建てるということだけじゃなくて、暮らしにかかわる様々な法律だったり、そこまで全部調べ上げているのには驚きました。

さて、イリスコートと言えば、黒塀と道路からダイレクトにアプローチする1階住戸が特徴的ですよね。


黒塀がある1F住戸

(妹)
本当に素敵な黒塀で気に入りました。1階の、道路から直接入れるという発想も、素晴らしいと思いました。
(姉)
普通埋まらないですものね、1階は。普通のアパートだったらどんと入口から入ってという感じだけど、すごくおしゃれです。

  

六耀とのタッグ、家賃設定などの戦略づくり
ラグゼもイリスコートも賃貸マンションですから、ご自宅を建てるのとは違って、ご入居者のターゲット設定や家賃設定といった重要なテーマがあります。そのあたりはどういう流れで決められたのですか?
(妹)
六耀さんのほうで、年齢層やどんな人を対象にすればいいかなど、同じエリアの相場を調べてくださったり、すごい資料をたくさん作ってくださって。もう少し大きな部屋があった方がいいんじゃないかとか、自分の中ではいろんなことをお話ししましたけど、地域性とか土地の大きさでスペースをどれくらいにするかということも関係してくるので「対象を絞って」ということをアドバイスされましたが、結果的にはそれで正解でしたね。素人ではさすがにそこまではわからないことが多いので助かりました。

(姉)
鶴見区のラグゼと中野駅徒歩3分のイリスコートでは入居者層もかなり異なりますから、それぞれに詳しい資料をつくっていただきました。

かなり住宅も密集しているエリアですが、ご近隣の方々とのコミュニケーションはいかがでしたか?
(妹)
イリスコートのある土地も狭くて、お隣とも接していますから、問題は少なからずあったんですけど、そこもぜんぶ丁寧に対応していただきましたし、完成後もまったくトラブルはないですね。私たちだけだと気が付かない部分についても「挨拶行った方がいいですよ」ってアドバイスをしてくれるので、助かります。 また、施工会社が、本当にしっかりした建築会社で、うれしくて。

周囲の皆さんも、古いアパートが素敵な黒塀のある一角に変わったということで、喜んでくれていると思います。
(姉)
地域全体の価値、資産価値が上がりますよね。しかもそこに、新しい出入りがあって。
(妹)
私としても、古いアパートを残されて、あのまま賃貸を続けていたら本当にどうなっていたのかと・・・。家は壊せないし、頭金はないし、管理人を抱えて…。考え付かないですね。姉のアドバイスのおかげでいい出会いがあって、本当に良かったです。

古田様 加藤様、お忙しいところご協力ありがとうございました。

【関連リンク】
ラグゼ 物件ホームページ 
イリスコート 物件ホームページ

(聞き手:ポケット・クリエイション)